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「ウソだと思ったら、男子諸君、放課後にこっそり保健室に来なさい。証明してあげるよぉ!」
こ、これはレイプ予告宣言じゃないか。「うひょー!」と、M系と思しき男子3、4人が心臓を押さえて椅子から滑り落ちる。
「あ、先生、その発言はちょっと……」
大原先生が慌てて両手を広げ、遮る。その顔はクラスの男子たち同様、緩むだけ緩んでいる。ふやけるだけふやけている。修復不可能なほどに水気を吸ってしまっている。そう、絞ったら顔からたらたらと男汁が垂れてくるほどに。ふやけも緩みもしていないのはズボンの前だけだ。
「フフフフ、ちょっと調子に乗りすぎちゃったみたい。いずれにせよ、私、誘拐されてないからぁ! 元気だからぁ! ちなみに、私の躰で一番元気なところはぁ‥‥‥」
「ち、ち、ちょーっ!」大原先生が慌てふためいて、両腕を振り回す。「フミカ先生、それだけは勘弁を! まだ高校生なんです、彼らは!」
「そっか‥‥‥。キミたちまだ未成年なんだ‥‥‥」
フミカはとても残念そうな顔をしてうつむいた。だが、次の瞬間、
「あ、そうそう……。これ、これ‥‥‥」
フミカがスカートのポケットに手を突っ込んだ。タイトすぎてなかなか入らない。何か薄いものを掴んで引き出そうとしているのだが、私の位置からは下半身はほとんど見えない。彼女はもじもじ躰をよじりだした。「うふん、うふん」と息を荒げながら。教卓に隠れた長い脚はすでにX字になっているかも。
──ま、ま、まさか、教壇上で?
私は美人教師がスカートを降ろそうとしているのかと勘違いした。
「フミカ先生、それ、刺激、強すぎー!」
叫んだのは、私ではない。最前列のオタクくんだ。突然鼻血を吹きあげたのだ。赤い液体が教壇を汚す。床を汚す。もちろん自分自身の制服も。
このとき彼もとんでもない誤解をしていたのだ。あとで話してくれたところによると、このとき彼はフミカが生徒たちの面前でオナニーを始めたと思い込んだらしい。そう思い込んだのは彼だけではなかった。実は彼のオタク仲間がそろいもそろって同じ勘違いをしたという。
フミカは、ポケットに何かを探していたのだった。
「これ、サービス券ね。男子限定……」
やっと出てきたピンク色の長方形の紙。男たちの昆虫的触覚がピーンと逆立つ。
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