積弊清算

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「冬休み中の部活が全面禁止になっているから、木坂君や中川君たちも来れるって。運動部の男子たちと一緒できるなんて、こんな機会めったにないよ」  女子たちはたがいに両手を握り合いピョンピョン飛び上がりながら、教室の後ろに目をやる。そこはクラスでのカースト上位の男子たちがバカ話で盛り上がっている最中だった。 「みんなで羽目外しちゃおうよ! 親たちには女子どうしてパジャマパーティーやるって適当にさあ‥‥‥」  真純(ますみ)美丘(みおか)が、行こうよ行こうよ、と身体をすり寄せてくる。  ああ、つらい。私もできることなら気の合うクラスメイトと思いっきり楽しく過ごしたい。でも、男子も来るというのは警戒しないといけない。だって、男子たちの目的は私だから。その漁夫の利を狙っているのが真純たち。大好きなお友達に「漁夫の利」だなんて、言い方はよくないけど。真純は木坂君が好き。一学期にカレシと別れた美丘は最近中川君に関心を持っている。でも、中川君も木坂君も目的は私。そんなところに行けるはずがない。できれば、真純と木坂君、美丘と中川君ができちゃえばいいと思っている。そう、私は邪魔になるのだ。行かない方がいい。   「本当にごめんね、せっかく誘ってくれたのに」    私は誠意を込めて事情を説明したのだった。真純も美丘もやっぱり親友だ。わかったよ、とうなずいてくれ、頑張るんだよ、と励ましてくれた。  ああ、ジュンくん……。私たち、早く身を固めようよ。ジュンくんがもうちょっと積極的に出てくれたら嬉しいな。それとも、あなたは愛理さんに……? 私はもう決めてるよ。結婚するならジュンくんだって。私たちがカップルとして公認されたら、周りにも幸せなカップルができていくと思うの。  ねえ、ジュンくん。クリスマスイブだよ。  ジュンくん、クリスマスイブなんだって……。
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