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車中キス
ジュンくんのお父さま、薫さんは、貞利博士とミツエさんを車で送って行った。私はお母さまの運転する車で、愛理さんと一緒にお宅にお邪魔することになった。
園長先生は私と牧村夫妻を信じ、特別に外泊を許可してくださった。中学生以上は外泊する時服装のチェックを受ける。極端に短いスカートや下着が透けるような服装は許されない。高校生には高校生らしい質素な服装が求められる。
タイトなニットには、鍼の効果で最近ボリュームを増した乳房がくっきり浮き出ていたけど、グレーのプリーツスカートが制服っぽく見えたためだろうか、短めにもかかわらず許可してくれた。スカートの中までチェックを受けていたら絶対引っかかっていただろうけど。だって、このみちゃんにもらったエッチな下着だから。紐を引っ張るだけで、木の葉のようにハラリと落ちてしまう代物。
私とジュンくんは後部座席に座った。助手席に愛理さん。
私とジュンくんは異様に固くなっていた。だって、私は舞台上でプロポーズされた喜びの余韻が尾を引いていたし、後部座席はジュンくんと二人きりだし、助手席の愛理さんはことあるごとに振り向いて私たちの様子をうかがっていたからだ。
「へえー、手も繋がないんだ?」
なかなかスキンシップをしない私たちにしびれを切らせた愛理さんが、運転席と助手席の間から身を乗り出してくる。
「るせーなー、前向いてろよ、愛理ぃー」
街の灯に照らされたジュンくんの横顔が上気している。頬がぴくぴくしているかも。
「だって、5カ月ぶりなんでしょ、二人きりになれるの」
「二人きりじゃないだろ。母さんもいるし、オマエもいる」
お母様と愛理さんが視線を合わせ、苦笑している。
「キスぐらいしなよ」
愛理さんがすらっとした腕を伸ばし、ジュンくんの膝をつつく。
「したいよ、そりゃあ……。サキ、今日は一段とかわいいし。でも、オマエがしょっちゅう後ろ振り向くからできないだろ?」
きっといつもこんな感じで話してるんだろう。ジュンくんと愛理さんの親密さにちょっとだけ嫉妬してしまう。
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