マラソン大会

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 ハンディをつけてもいいんじゃない? 私みたいに背の低い(相対的に脚の短い)女子には持ち点15点とか。お尻が大きい女子にも20点。(そう、私みたいに。)おっぱいが重い女子にも20点。いやいや。5点ぐらいでいいか?だって、バストには私、重くないから。アハハハ……。 稼いだ点数臭い時手アドバンテージが与えられるというのも面白くない? 7点くらいでイケメン男子におんぶしてもらえるとか、12点くらいでお姫さま抱っことか……。ジュンくんは私をお姫さま抱っこしてくれるから、わたしの点数が彼に行く。彼にも有利。ウヒヒヒ……。 「も、もうダメだよ。歩くわ」 「アタシも、げ、限界」  坂を20メートルほど登ったところで真純(ますみ)美丘(みおか)が音を上げた。足を止め、膝に手をつくと、額から大粒の汗が垂れアスファルトにまだら模様をつける。二人が重いお尻を地べたに降ろそうとしたところへ、朦朧として走って来たわたしがフラフラと突っ込み、美丘のお尻を膝で蹴り上げてしまう結果になった。 「アタッ!」 「あ、ごめん!」  美丘はお尻の割れ目に手を当ててうずくまる。私も彼女につまずいて前のめりに転ぶ。手のひらがアスファルトに擦れる。ヒリヒリする。 「ちょっとサキ、私の大事なところ蹴らないでよ」 「ごめん、ごめん、わざとじゃなくて‥‥‥」  私も焦点の定まらない視線で、美丘をのぞき込む。彼女はいたずらっぽい笑顔で、 「処女膜やぶれたじゃない! どうしてくれるのよ!」  甲高い声はいつもの通りだった。だが、この時ばかりは声が鬱蒼と立ち並ぶ杉の木々に反響し、予想以上に響き渡ってしまった。しまった、と手を口にあて周りをきょろきょろと見回している。  オタク男子の3人組がニターっといやらしい笑顔を張り付けて追い抜いて行く。  とっくに処女ではない美丘の口から「処女膜」などというガラにも合わない 言葉がこぼれて、私と真純は四つん這いのまま顔を合わせて吹き出してしまった。
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