櫓立ちレース

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 テープを切った瞬間、ジュンくんの脚がもつれ、私を前抱きにしたままつんのめった。ジュンくんの手が私の後頭部と腰を保護してくれたから、ほとんど痛みは感じなかった。でもジュンくんの手の甲が擦りむけたかもしれない。  転倒した結果、二人は正常位で抱き合う姿勢になった。彼の固いものが私の脚の付け根に押しつけられ、私の両足は彼の腰に巻き付けられていた。 「うあぁああああー!」  全校生徒の歓声が耳を聾するようだ。色とりどりの幟が振られ、カラフルなハッピが虚空を舞う。歓喜に煽られた生徒たちが踊り狂っている。運動場は湧きに湧きたっているのだが、私個人の躰にはちょっと不都合なことが起きていた。  ウレタン上に転んだ瞬間、彼のたくましく勃起したものが私の谷間を奥深く押し込まれたのだった。服の上からだから挿入されはしないが、ふだん圧力にはさらされないところがグイっと押された。 「痛い!」 張っていた何かがピリッとはじけた気がした。  破れちゃったかも──。  ジュンくんの躰に覆われて見上げる空はとても青かった。ジュンくんの体重と胸の鼓動を感じながら吸う空気はとても新鮮だった。おなかの奥深いところだけがズンッと痛い。なぜか、とても意味ある瞬間に生きていることが実感された。  私たちと1、2秒差で佐藤・美丘ペア、渡辺・このみペアもゴールインした。木坂・真純ペアは悠々と歩いてのゴールインだった。
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