疑い

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 私の躰は日に日に女性らしさを増してゆく。だって、これだけ触られ、揉まれ、鍼を刺され、性感マッサージ迄ほどこされたのだ。若い肉体が成長しないはずがないのだ。 「サイズの測り直しなら触るだけでいいんでしょ? どうして、ああん‥‥‥、あ、そこ、ダメ‥‥‥、ど、どうして揉んだり摘まんだり引っ掻いたりする必要があるの?」 私は愛理の部屋のベッドに仰向けにされている。下着まで剥がされ全裸になってしまった。博士のところを辞しその足で彼女を訪れたのだった。私とジュンくんの初エッチに自作ランジェリーを間に合わせようと彼女もちょっと焦りぎみだ。 「身体の弾力が素材を決めるのよ! サキみたいにしょっちゅう乳首立ててる子には柔らかい素材が必要でしょ? 素人は黙って揉まれてなさい!」 「だからって‥‥‥、きゃっ!」  左右の乳首がつねられ、快感微電流に躰がピンと跳ねる。 「フフフ‥‥‥、かわいい、サキ‥‥‥」  愛理の悪魔的な微笑はとてもミステリアスだ。日本人離れしていると思っているのは私だけではない。そういえばジュンくんにも私たちの田舎町にはちょっとあり得ない高貴さが滲み出ている。「牧村」には西洋の血が混ざっているのかもしれない。 部屋の中央にはミシン。四隅に一体ずつ置かれたマネキンはカラフルなブラとショーツをまとっている。かわいいのにセクシーなの。シンプルに垢ぬけているものと南国の花が鮮やかなもの。すべて愛理の手作りだそうだ。壁から壁へと渡されたロープには何種類もの布地やらレースやらがぶら下がっている。机の上には数十枚に至ろうというデッサン。  すごい、と思った。高校生なのにプロみたいだ。彼女が自分のお店をオープンさせたら、やはりメジャーを使わず、手で直接クライアントの躰を触るのだろうか。  愛理はランジェリーも作れるし、エステティシャンとしてもジュンくんのお母さまに高く評価されている。勉強はあまりできないと聞いているが、学校のテストなんかでは測ることのできない才能が咲き誇っているではないか。  ──私なんか足元にも及ばないな‥‥‥。  ちょっと悲観的になった。 「あっ!」 ひょいと肩を持ち上げられ、腰を押されると、あっさりとうつ伏せにさせられた。私の小さい身体は愛理の片手でどうにでもコントロール自在な手軽さだ。マネキンになった気分だ。
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