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「さあ、力抜いて」
ニュルッと入って来て、隘路に圧力が加わった。未だかつて空気に触れたことのない部分が侵入を受けた。
「……くっ、……ジュンく……」
ドーナツの穴が内側から目いっぱい拡張された。私は怯えてジュンくんを見上げる。こわい。それ以上深く入れられたら、私の膣はどうなっちゃうんだろう。襞が切れるって、襞が破れるって、どんな感じなんだろう。こわい……。
彼の目も潤んでいる。頬が高潮している。指が……、指が心なしか震えている。彼だってこれより先は未知の領域だ。あまりにもヤワで無防備な女の器官を前にして途方に暮れているに違いない。
限界点を超えたところでプチッと糸の切れる感覚があった。
「あっ!」
甲高い声が漏れ、部屋の四方の壁に反射する。私はとっさにジュンくんの胸に爪を立てた。「だいじょうぶ、だいじょうぶ」となだめられながら、指はさらに奥へと進んできた。──ニュルッと。
「ニュ」で果敢に入って来て、「ルッ」で軽く引く感じ。ニュルニュルの反復でかなり深い所まで入って来た。
奥の方から暖かいものが溢れて、襞と指の隙間からにじみ出てくる。たら―っと垂れて肛門の方まで潤わせる。それが粘液なのか破瓜の血なのか、怖くて確かめられない。私の視線はジュンくんの瞳に集中している。彼の瞳こそ今現在の私の世界の全部だ。
痛みはほんの一瞬だった。
続いて……膣襞を撫でられる「いい感じ」。
そう、「快感」には届かないけど「いい感じ」が、痛みの上に薄く、薄く、上塗りされていく。焦げてしまったトーストの上にマーガリンが塗られていく感じ。
「ほら、全部入ったよ」
その一言で肺に監禁されていた空気が緩み、安堵のため息が漏れた。ジュンくんがクスッと笑った。
「入ったのね?」
「入ったよ」
優しい目で見下ろされてとても幸せな気分になった。とたんに緊張していた膣もふわっと緩む感覚があった。そこが再び暖かみと潤いを回復してゆくのが感じられる。
「ジュンくんが入ったの?」
「そうだよ。キミの子宮の真ん前まで来てる」
お腹の奥の方で指先の動きを感じる。
「う、うれしい‥‥‥」
涙が出てきた。もちろん喜びの涙だ。ジュンくんの躰が、たとえそれがほんの一部であったとしても、私の子宮に触れている。──その思いだけで最高にしあわせだ。
初日は指を入れるだけにしようと言い出したのはジュンくんだ。それは私にとっては「賢明な選択」だが、欲望を早く放出したい彼にとっては苦渋の決断だったと察する。
私の腰に触れている彼の屹立がドクっと、心臓のように脈動を刻んだ。不規則的に脈動を刻む彼の欲望。それは今私の膣に挿入されている指の7、8本分の太さはあるだろうか。それほど彼の性欲は盛っている。だが、こんな大きなものを私の隘路に突っ込むのは、今は怖い。
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