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失神していたのは、ほんの数分のことだったと思う。気がつくと、私は仰向けに寝かされていた。
視界に広がった光景について考えている。ぼうーっと考えている。
──何だろう……。この奇妙な形をした天井は……。いや、天上からにょっきり伸びた肉の塊は……?
手を伸ばして触ってみてわかった。
──ジュンくんのペニスだ。
ジュンくんが私の顔をまたいでいるのだとわかった。それと同時に、甘美な快感が下半身から伝わってくるのも感じている。
「あー……」
ジュンくんが舌で私の性器を愛撫してくれているのだった。
無重力状態だった。一度絶頂に高められた余韻に浸りながら、私の躰はいま適度な、ゆるい快感の雲に乗ってゆらゆらと漂っているのだった。
このままずっとそこをなめていて欲しいと思った。
しかしその時、ジュンくんをいとしく思う感情の奥底に一点の灯がともった。それがだんだん明るさを増して、私はその正体がなんであるのかに気づいた。
──ジュンくんに奉仕してあげたい……。
彼を愛してあげたい思いがひしひしと湧き上がって来るのだった。奉仕と言えば聞こえはいい。利他的な行為だから。しかし私のその思いは極めて利己的な思いだった。「私が」ジュンくんを気持ちよくしてあげたい。「私が」ジュンくんの躰を独占したい。──そう、それは「私がジュンくんに」「私がジュンくんと」「私だけがジュンくんに」と何度もしつこく反復したい利己的な欲望にほかならなかった。
「私もね‥‥‥、ジュンくんにね‥‥‥、っんんー‥‥‥、ほ、奉仕してあげたいの‥‥‥」
「ん? ‥‥‥奉仕?」
ジュンくんはちょっとまごついた。まごつきながらペチャペチャと飴玉をしゃぶり続けている。時々指が、さっき探し当てたばかりのポイントを突いてくる。そのままそこを迫られたら、またオルガズムを迎えそうな予感があった。それを迎える前に、私もジュンくんに注ぎ入れたいものがあった。
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