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5分もすると力の加減がわかって来た。時々強弱を変えながら根気よくしごいてやる。中心に通る太い管を押し上げると、鈴口からどくどくと粘液があふれ出す。透明な雫はその粘性ゆえに大きなしずくとなり竿を伝い落ちる。
──聖水!
そう。これは神様から、仏様から送られた真理の水だ。この粘液、聖なる水を飲みさえすれば、眼前に偉大な真理が開かれるかもしれない。宇宙と人生の目的を悟るかもしれない。──そんな予感さえ与えられたのだった。
樹液を竿全体にまぶしてやる。その行為は宗教的に、そして哲学的にとても正しい行為に思えた。
「うっ、うっ‥‥‥」
真理のしずくを生み出しながら、うなるジュンくんが尊い。ますます愛情をこめてしごいてやる。
強弱をつけて。そして、フェザータッチで撫であげる。
「っおおー……」
彼のくちびるから漏れた呼気が私の裸の肩を撫でてゆく。
左手で竿を固定させ、右手のひらで微妙な動きをつけながら「キノコ坊や」の頭をナデナデしてやる。日ごろジュンくんにされているように。
「うう―……」
ジュンくんが低い声でうなる。
音楽みたいだと思った。私の手のかたち、摩擦のポイント、圧力の強弱でジュンくんは様々な音色の喘ぎ声を奏でる。
──フフフ、虐めてあげたい……。
突如としてこんな嗜虐的な発想が浮かんできて、私自身びっくりする。私ってサディストなのかしら?
「サディスト」という言葉が浮かんだ瞬間、みんなにかわいいと言われるアヒルの口が歪んだ。本性を言い当てられた自我が怪しい微笑みを浮かべてる気がした。
見ると、ジュンくんの顔は真っ赤だ。時々腰をしゃくって屹立をどこかに突っ込みたいようなそぶりをする。彼が腰をしゃくる度に内なる「サディスト」は目覚めてゆく。
自分の手が恋人を操っていることに「サディスト」は深い喜びを感じている。彼は私の操り人形。私は心の赴くままに彼を操れる悪魔。
──彼の運命は私の手中にある!
そう思うと私の悪魔的な属性はますます加速的に膨らんでゆくのだった。
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