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スカートはまくれ上がり太腿が露出しているし、セーラー服ははだけインナーとブラのストラップが丸見えの私をこのみちゃんが必死に隠そうとしてくれる。
「あ、大丈夫だから、俺に……」
王子は片手を私の背中に回し、上体を起こしてくれた。腰が彼の膝で下から支えられている。胸の谷間が見られて恥ずかしい。すると、その思いが通じたかのように、彼はセーラー服の前身頃を寄せ片手でホックを一つだけ留めてくれた。ちょうど胸の谷間だったけど、彼の指はたぶん私の胸のふくらみを感じ取っている。ブラの上から体温がジワリと伝わってくる。
「はぁっ……」
漏れた息に声が混ざり、慌ててくちびるを押さえた。なんでだろう。なんで声が漏れるんだろう。こんなの初めての体験だった。
上にあったこのみちゃんの目が、エレベーターから見る景色のようにすうっと下がり、今は私と同じ位置にある。そう、私はお姫様抱っこされたのだった。
ウソみたい。私、王子さまに抱かれている。嬉しいのと恥ずかしいのがごちゃ混ぜになって私はどうふるまっていいのかわからない。一応、彼の首に腕を絡める。だってそうしないと私の体重がもろに彼の腕で測られてしまうから。
「あ……、あの……、そ、そこは……」
背中から廻って来た手が腋を経由し、乳房の膨らみにスーッと忍び込んで来る。腋の下か乳房か判断が曖昧な領域。そこの膨らみと柔らかさが彼の手のひらに吸い取られている。女の子の秘密が暴露されたような心もとなさ。
ホクロもニキビもないきれいな顔に見下ろされる。その瞳に射られたように私は動けない。ただただ、ぼうっとして見上げるのみ。顎の下に不精ひげが顔を出している。それが何ともセクシーに見えてしまったのは、きっと彼に乳房を掴まれているからだ。
王子さまだ……。この人、本当に王子さまなんだ……。ザルの王子さま……。桜坂の王子さま……。
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