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目隠しされ仰向けになった状態で、フミカに問いただした。なぜ、ベッドに縛り付けるのかと。なぜ、仕切りカーテンもドアも開けっ放しで出て行ったのかと。そして被害を訴えた。正体不明の女子に躰を触られ、ショーツに手を突っ込まれことを。そして、女の子の大切なところを……、大切なところを……。
私は泣いた。アイマスクがびっしょりになるくらい泣いた。恥ずかしくて、そして、悔しくて。だって、初めて触らせてあげるのは、私が本当に好きになった男の人だって決めていたから。
なぜか、ジュンくんの顔が浮かんできた。
「そんなに感情的にならないの。腰に響くわよ。いいじゃない、処女奪われたわけじゃないんでしょ?」
吐き捨てるようにフミカは言う。見えなくてわからないけど、彼女は腕組みして私の躰の隅から隅まで視線を這わせているに違いない。
「でも、胸を触られました。それに一番恥ずかしいところを、女の子の、一番大切なところを……」
そして、訴えた。自分は穢されたのだと。これは立派なレイプなのだと。しかし目隠しされているから怒りと悲憤の焦点が定まらない。視覚的な軸が定まらないと声にも力が入らない。
「処女なんて後生大事にとっておくモンじゃないでしょ⁈」
「なっ……」
「もう、アンタ、高校生なのよ。自分のカラダは守るものじゃないのよ。楽しむものなの。アンタ、ひょっとしてオナニーも知らないんじゃない?」
「オナ……なんて……」
自分の性器に触るのも怖いのに、オナニーなんてできるはずがない。レディコミは好きだから、女の子が自分で慰めることがあることは知っている。でもそれはそういう体質の子が楽しむものだと思っている。そして私はそういう体質の女の子じゃないのだと。
「いいこと教えてあげる。腰が悪いオンナの共通点」
「……」
「100パーじゃないけど、大部分は不感症。つまり、おっぱい触られても気持ちよくなれないオンナ。クリトリス剥かれて痛がるオンナ……」
「ひどい……。それって……」
フミカがクククといやらしい笑い声を漏らしている。廊下でこっそり盗み聞きしていたにちがいない。私が股間をまさぐられて痛がっていたのを。いや、保健室の入口に寄りかかって堂々と観察していたのかもしれない。腕組みをして。シニカルな笑みを顔じゅうに広げて。
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