長いもので貫かれる

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 おかしい。いつもなら嫌悪感を感じるはずなのに、今日は触られて気持ちよい。ムズムズするような快感がそこから波紋になって広がって行く。 「うふんぁ…… 」  指の先で押され、声が漏れてしまった。  そうだ、鍼のせいだ。鍼を入れられ性感が開発されかかっているんだ。私はもうこれ以上声が漏れないようにくちびるをしっかり閉じてうつむく。ミツエさんの手が私のソコを振動を送り続けているのが見える。 「さあ、『セックス』が言えたんだから恥ずかしくないでしょ。さあ、ここは? あなたの躰の中で一番大切なこの部分はなんて言うの?」 袋小路に追い詰められる。 「そ、そこは……。ああぁあ……」 「『オマンコ』よ。『オマンコ』って言うのよ。さあ、言ってごらんなさい」  ミツエさんの指先の振動が高まる。 「オマ……ンコ……」 「あら、えらいわ。よく言えたわね」  ミツエさんの手がスーッと抜かれた。両手を合わせ、指先だけで拍手をしている。緊張から解放された私は、ほーっとため息をつく。同時に快感が去ってしまったことが惜しまれた。 「これからはね、お友達と秘密のお話をするとき、あなたも『セックス』とか『オマンコ』とか、口に出して言ってみなさいね。きっとあなたの人生が楽しくなってくるわよ。さあ、お約束……」  ゆびきりげんまんをした。 「生理が終わって五日ぐらいしたらもう一度来なさい。私、あなたのこと、とても気に入ってるの。もう『あなたで決定』なの。フフフ……。腰の治療もそうだけど、女の喜びが感じられる躰にしてあげる。敏感な『オマンコ』にしてあげるわ。先生の開発した鍼とお灸でね。かたくなな羞恥心からも解放されるわ。あなただけにしてあげるサービスだから。 ね?」  ミツエさんはまた上品に語尾を上げ、私はうなずく。すると、「きっとくるのよ」と念を押され暖かく抱擁された。  昨日はジュンくんと再会した日。侵入者に躰をまさぐられ、フミカにセクシーショーツをもらった日だった。今日は女性ホルモンを活性化させるという鍼灸術。そして生理後は性感帯を開発する鍼を入れてくれるという。知らないうちに逆らいようのない強い流れに押し出されているのを感じている。今まで覗き込むのに躊躇していた世界へ。本当は興味津々なんだけど自分に禁止していた世界へ。なんだろう、この流れは。どこから来るのだろう、そして、どこへ流れ着くのだろう。ワクワクすると同時に私は得体のしれない恐怖心をも感じているのだった。  
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