母のまなざし、そして運命の人。

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 桜坂での出会い。  体育館前での慌ただしい再会。  保健室事件からおじいさんの鍼灸院。  そして今日、結婚の約束をした。(ん? 約束はしてないか‥‥‥)  ──この大きな流れにはとてつもない力が感じられる。いや、力というには語弊があるかも。会いたい人、気の合う人、好きな人と一緒にいたいという思いが大きな流れを作り出し、それに身を任せたいと思わせる「魅力」が感じられる。保健室で素っ裸にされた事故を除けば、これまでの歩みは、会いたい人(ジュンくん)、好きな人(ジュンくんとこのみちゃん)、尊敬できる人(鍼灸院のおじいさんとミツエさん)との出会いで紡がれていた。「好き」だからこそ反逆不可能なのだ。最強なのだ。最強だからやはり「力」と言うべきだろうか。  流れの源には誰がいるんだろう。きっと神さまだ。愛の神さま。神さまは聖書を読まなくちゃわからないというものではないと思う。好きな人や尊敬する人と一緒にいて嬉しいと感じるその心は、ご自分で想像された天地をご覧になり「よし」とされた神さまと同じ心なのだ。すなわち、嬉しい時、私たちは神様になれるのだ。創造主と同じ精神的たかぶりとパワーを持つのだ。  神さまが流してくれるしあわせの大河の水の一滴一滴は、好きな人との出会いだ、きっと。それが運命とか宿命とかいうものなのだろう。としたら私は、逆らうことなく流されていきたい。  まだ、16年しか生きてなくてあまりよくわからないけど、きっとみんなこうやって人生の大海を渡っていくんだろうと思う。迷ったときは流れに身を任せてみる。愛する人、好きなこと、やりたいことに素直になってみる。それは神さまが作られた流れだから、人を決して不幸には導かない。  流れに飲み込まれるのはラッキーなことだ。だって、流れがなかったら、頭がおかしくなるくらい多くの選択肢から一つだけを選ばなければならないから。たいして頭の良くない私には、いつも正しい選択ができるという自信はない。
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