セクシーランジェリー愛好会

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 私が知っているこのみちゃんではなかった。おとなしくて控えめで、文学とセクシー下着にだけ興味のある彼女ではない。内面のギラギラを臆することなくむき出しにした一人のオンナ。 「だって、阿久津先輩ってカノジョいるじゃん。バスケ部の……」 「だから、……セフレ。カノジョじゃなくて……」 「それって、どういう……」  エアコンの風が剥き出しの肩と太ももを撫でてゆく。そのせいか軽く鳥肌が立った。  本棚や机の上などあちこちにかわいい縫いぐるみが配置されている。イチゴ模様のかわいいカーテン。壁には題名は知らないが、シャガールの絵画が掛けられている。月夜のバルコニーで抱き合う男女の姿。ここはまごうことなき処女の部屋かと思っていたのに……。  南向きの窓から燦々と日光が注ぎ、ベッドの上に散らばった何枚ものシルクショーツをキラキラ輝かしている。 「今日のショーツ、これにする。サキも早く一枚選びなよ。見せ合いっこしようよ」  急激な話題転換。  私の意識はまたショーツに戻る。手に握られた一枚に視線を落とす。ほどんど下着の役割を放棄したような代物。紐の組み合わせでしかない際どいショーツ。  このみちゃんの部屋いっぱいに散らかっているショーツはすべて試作品だそうだ。ものによっては縫製の杜撰なものもある。でも、高校生が趣味で身につける分には何の障害にもならない。カレシに見せるとしたら話は違ってくるだろうけど。 「これ穿いて彼に会う。今日来るから。彼ね、私の下着すっごく喜んでくれるんだよ」  脱線した話題が再び阿久津先輩に戻る。 「このみちゃん……、私、あまりよくわからなくて……。だから、セフレっていうのは……」 「……セックスフレンド。セックスするだけのおともだち……」 「おともだち……」 「そう」このみちゃんは確信に満ちたような表情でうなずいてみせた。「恋人じゃなくて、ただのおともだち。セックスを介しての」 
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