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「あ、先輩!」
待ちに待ったものの到来に顔を輝かせるこのみちゃん。心なしか、声が張り切っているのは私をイかせた勝利感も手伝っているように思われた。
「あ、今家の前だって、先輩……」
「え? それって、阿久津……?」
「そう、阿久津先輩……」
とんでもないことになった。女どうしで楽しみ、まだ淫靡な空気の漂うこの部屋に阿久津先輩が来る。もう玄関前に来ていると言う。
「たいへん! 早く片付けなくちゃ!」
私はあられもない格好でベッドを下りる。床についた足がつるんと滑った。
「きゃっ!」
「サ、サキ、大丈夫⁈」
尻もちをついたとき、肘がベッドの枠に当たり痛かった。
水じゃない。ねばねばしたものが床に垂れていたのだ。ほんの2,3滴という感じだったが、かなり滑った。このみちゃんがクスッと笑って「サキって、漏らしすぎ」と言った。私は顔が火傷するほど真っ赤になった。
穿いてきたショートパンツはどこへ行ったかしらと、布団をめくりあげたり、床を探したりしたが見つからない。
「ちらかっているショーツはそのままでいいから……」
このみちゃんは引き出しからカギを引っ張り出し、大鏡の横のドアにガチャガチャと差し込んだ。
「サキちゃんはとりあえずここに隠れてて……」
私は背中を押され、このみちゃんの趣味の部屋へ押しこまれた。
「あの、私、まだ……」
下、穿いていないの、と言うまえにドアは閉じられ、向こう側からカギがかけられてしまった。
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