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何が食べたいかを尋ねた直後の、それ。
考え過ぎだし、なんてはしたないのだろうと自分でも赤面ものだけど、唇どころか自分の全てが彼に食べられてしまうかのような錯覚を覚える。
寒気とも快感とも判断のつかないぞくぞくしものが、一気に背を駆け上る。
身体の奥が疼き、悩ましい吐息が無意識に泉夏から零れ落ちた。
恍惚とした表情で彼を見れば、秀麗な顔が微笑む。
「食べたいものでいいよ」
「えっ」
「お昼。泉夏の好きなものを食べに行こう」
「おひる」
「うん」
再度笑みを向けられて、泉夏はどんどん羞恥に包まれてゆく。
恥ずかしい事を想像してしまっていた後でもあり、真っ赤に熟した頬を悟られないよう、泉夏は勢いよく秀王の胸に埋まった。
「いっつも、そればっかり」
いつも自分の事を第一に考え、優先してくれて、とても嬉しい。
けれど今は、それを素直に表現出来ない。
素っ気なく、泉夏は呟いた。
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