その笑顔が好きだったから。

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 学生の頃に好きだったキミと、偶然再会した。  やっぱりキミは変わらなくて、あの笑顔で、数年ぶりに会うボクに、戸惑うことなく話しかけてくれた。  やっぱりその笑顔が好きだと感じた。  その日をきっかけに、連絡を取り合って何度か友人を交えて食事をした。  思い出話は尽きることはなくて、楽しい時間を過ごしていた。  そんなキミが、結婚すると何回目かの食事会で嬉しそうに報告してくれた。  その左手薬指にはキラリと光るもの。  ああ、なんて幸せそうな笑顔だろう。  今まで見てきた中で、一番かもしれない。  だけど、その笑顔はボクに向けられたものではない。  そう思うと、無性に侘しくなった。  結婚式の二次会の案内をもらった。  友達なら、これは行かなくてはならないものだと思った。  だけど、ボクは友達では終わりたくなかった。  キミの幸せを祈っている。  しかし、心のどこかでキミが不幸になることも望んでいる。  このままでは、ボクはキミをどうにかしてしまいそうだ。  だったら、もういっそ離れてしまった方が気が楽だ。  だからボクは、キミから遠く遠く、手の届かないほどに遠く、離れることにした。 ーーーさようなら。
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