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100_美馬※
深夜まで続くパーティーを抜け出して、美馬は惣一に連れられて、IORIホテルのスイートルームになだれ込んだ。
寝室の電気をつけるのももどかしい。互いの衣類に手をかけながらキスをした。
美馬は惣一のネクタイを外しにかかった。
美馬も背広に着替えていたが、惣一はネクタイを外す手間すら惜しんで、動きがメチャクチャだった。美馬の服を引き裂く勢いなのだ。
「惣一、落ち着けよ」
美馬は自分でネクタイを外そうとしたが、ずるっと下着ごと引き下ろしたスラックスの下から、ペニスが掴み出された。自分だけ半勃ちのペニスを弄られ、いやだと払ったが、彫刻のように端正な顔が股の間に沈んできた。
「わっ」
「待てない」
両膝をぐいっと広げて、鈴口を舌先で転がし弄ぶ。
先にシャワーを浴びるんだったと思い、足を閉じようとするが、ぱくっと咥えられると抵抗する気力ごと吸い上げられる。
「う……はぁ……っ」
惣一が美馬の先走りの液と自分の唾液を混ぜ合わせ、陰嚢から門につながる道筋に撫でつけて、冷ややかな上目遣いを見せる。
怒っているようだ。
こいつの怒りポイントがわからない。
美馬は早くも快楽にのまれかけて、腰が疼いて揺れる。
「惣一、惣一」
「アンタ、アクセル跳べなかったら、俺と別れるつもりだったそうですね」
ば、ばれてる。
「あ、あのな、それにはいろいろ」
「それを口実にして別れて、別の男とやりたかったですか?」
「バカ! 殺すぞ」
「くそっ」
締まっている尻をぎゅっと割り開かれた。
男性的な節高な長い指が窄まりに押し込まれてくる。
「……ひぅ、ま、まだ……」
美馬は逃れようとして身を翻したが、却って背後から押さえ込まれた。
「アンタってやつは」
抵抗できない。練習と演技で体力は尽きていたし、今のが最後の余力だったのだ。
今夜は惣一に抱きついて眠れたら満足だったのだが、後ろから蕾を指で掻き回されると、ひくひく感じて、突然、溶けた蝋人形のように下半身から崩れていった。
「……ぁ、ゆっく……もう」
「つくづく淫乱だな。俺が怒ってるのに、腰なんか振って」
「……あっ」
低い威圧的な声で囁かれて、背中が焼け付くように熱くなった。
人が快楽を求める貪欲さには呆れ返るばかりだ。惣一の指が蠢くたび、早く別の熱を咥えさせたくて、早くも息が乱れ始めた。
「はあぁ……」
「ん……」
惣一が無遠慮に深く沈めてきた。重みが増していき、惣一が熱い息を漏らす。
「ふぅ……」
「ぁ……あぁ」
全部呑み込んだところで、美馬はぐっと枕にしがみつく。
「きつっ」
「う……」
優しい手つきになった。抜き差しを始められたとたん、目の前に淡い光の粒が瞬き始めた。
この快楽の坩堝と化した恐ろしく甘美な味わいは毒のように感覚を麻痺させる。
必死に枕に縋り付いていると、惣一が強引に美馬の頤を掴んで後ろに捻らせる。
「うぁ……」
この前もこれをされて、首が攣りそうになったが、覆い被さりながらキスを落とされると、その痛みすら快楽になる。
「アンタは俺のものだ」
惣一の目が獣じみてきた。
唇の端から唾液が零れると、吸い上げられるとまなじりから一筋涙が流れた。
惣一の強い想いが伝わってくる。
ひとつに繋がっているのにまだ足りないと深く抉り、もう飲み込むものもないのに、ドリルで穴でも掘り進めるように腰を回し、身体ごとねじ込んでくる勢いだった。
「くっ……もっと入れてくださ、い……先輩……中に……食い込んで……は……ぁ……俺だけで、満たしてやる」
「…………も……おまえで……いっぱい」
前から抱き合いたくて、繋がったまま身体を捻って向き合った。
その間も滾る熱が迸って、首にしがみついて唇を合わせた。
「今度……くぅ……勝手な真似した……ら、容赦しませんよ」
「ん……、ん……っぁ……」
緩やかな律動で揺さぶりをかけてくる。
焦れたような動きに、美馬は自ら腰を突き出してねだった。
惣一がそれに応えて、強いストロークで突き上げてくる。
美馬は喘ぎながら顔を上げ、二人は夢中に貪り合った。
「すみません。……今夜は、やめようと……思ったんですが」
今さら言った!
わかってる、無理だよな。ずっと我慢させてきたから。
睫の先で、汗の珠が弾けた。
惣一も限界に近かった。
始め荒々しく始まったセックスは、惣一の溶けていくような溜息とともに、繋がる二つの肉体が昇り詰めると同時に、解き放たれて静かに終わった。
一度始めたら執拗に美馬を抱き潰す惣一だが、美馬の身体に力が入らないことは伝わっているのだった。
互いの欲情の痕跡を拭い合い、ようやく服を脱ぎ捨てて達したばかりで敏感になっている肌を重ね合った。ちょっとしょっぱい恍惚の海に抱かれる気分で、うとうとしかけた。
惣一は物足りなさそうに身体を弄ってくるので、美馬は手を掴んで、キスで返した。
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