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「おい、あの女性を信用していいと思うか?」
ヒューゴが小声で問う。
「はい。あの方はおそらく高位の精霊です。尊い方です。信用していいかと」
オンディーヌはヒューゴに近づくと彼の手を取り優しく微笑んで言った。
「心配せずともよい。ルークもここに来たことがあるぞ」
「ルークが!?」
「そうだ。安心せよ。それにしてもお主、いい男じゃな。魔法使いにはいない、たくましい体つきをしておる。名は?」
「ヒューゴ・シリングだ。助けてくれて感謝する」
ヒューゴは絡みつくオンディーヌに少しも動じず、涼しい顔をして言った。
「いいのだ。さ、今日は城で休むがよい。そう警戒するな。わらわは味方じゃ」
オンディーヌのヒューゴを見つめる目はうっとりとしていたが、そばにいるエレノアに目をやるとを急に興味のなさそうなつんとした顔になった。
(……嫌われている!?)
「さ、ヒューゴ、こちらへ来るがよい」
オンディーヌがヒューゴの手を引いていく。頬を染めて嬉しそうだ。
「わたしは!?」
「……お前もついてこい」
オンディーヌはため息をついて、すごく面倒そうな顔で言った。
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