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魔法円に乗っているエレノアには何が起こっているのか分からなかった。が、地上の木々が揺れ、建物が揺れている。
「大地が震えているの!?」
「地震だ! まずい! このままでは建物が崩れ始めるぞ!」
フィンレーやタガンにいる魔法使いたちが大地に向けて魔法を使っている。街の建物が崩れないようにしているのだ。だが、大地の威力に対して押されているようだった。所々で建物が崩れていく。
(ローフォードは!?)
エレノアは慌てて遠くに見えるローフォードを振り返った。
大きな魔法が使えないローフォードでは、土煙がそこかしこに上がっている。建物が崩れているのだろう。
「ローフォードの方が揺れているみたいだ。崩れる建物を避け、民が逃げまどっている!」
「そんな……」
「きっとルークやアレンが民を避難させていると思うが、被害が大きそうだ」
「バージル! わたしはもう大丈夫だから、皆を助けに行って! お願い!」
「分かった!」
エレノアはその場で魔法を使うことにした。
ローフォードの上空では魔法が使えない。ここからだとかなりの魔力を使うが背に腹はかえられない。
エレノアは宝珠のなくなった杖に魔力を込めた。
「精霊よ、ローフォードを助けて! 揺れを抑えて! 建物が崩れないようにして!!」
まばゆい光がローフォード全体を包み、ローフォードの全土にエレノアの魔法が成った。
胸を撫で下ろし、安心したエレノアはふと視線を感じた。
(──! クラウス!?)
帝国側、エレノアの近くにクラウスがいた。
エレノアは、怒りをにじませ、クラウスを睨んだ。
「今から殴り込みに行くから!」
言いたいことがたくさんある。
エレノアが、魔法を使って魔法円を下りようとした──その時だった。
鼓膜が破れそうなぐらいの大きな爆発音が背後でした。
「きゃぁぁぁぁっ!」
その衝撃でエレノアは前に倒れ込んでしまった。
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