壁を崩す

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「大丈夫か!? フィンレー!」  追い付いたヒューゴだった。 「ヒューゴ! エレノアがっ!」  エレノアの顔を見たヒューゴは、一瞬にして沈痛の表情を浮かべた。 「……眠ってしまったのか?」  ヒューゴは震える手でエレノアの頬に触れた。 「──っ!?」  頬の冷たさに驚いたのか、ヒューゴはすぐに手を離した。 「そう……だと、いいが……」  竜のバージルが涙を流してつぶやく。 「まさか……」  ヒューゴはその場にくずおれ、涙を浮かべた。    ──降り注ぐ光りは柔らかく、エレノアを照らしている。  だが、涙に暮れる三人には、エレノアが見えなかった。  ただ互いの慟哭が聞こえるのみだった──。
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