エピローグ

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 その夜、大勢の人が来て大騒ぎになった。ちなみに、フィンレーはアレン先生にだけ事情を話し、こっぴどく先生に怒られていた。    しかも、わたしが「途中から意識があった。声が聞こえていた」と伝えた時のフィンレーの慌てようといったら、一生忘れない。  それから、わたしは、しばらくすると体が元気に動くようになり、眠っていた間に起きたことを色々と聞いた。  ヒューゴは若くして皇帝となり、サラヴィオーク帝国を立派に治めている。  意外だったのはバージルだ。彼はタイドスの王になっていた。  わたしが大きな結界を張った後、溶岩がサラの町の方へ流れたのだという。その溶岩を大きな体で受け止めたバッカスおじ様は、そのまま固まって大きな山になってしまったらしい。  きっと、アメリアさんの子孫を守ったのね。  バージル自身は、気ままに帝国に行っては、嫁を探したり、気に入った機械をタイドスに持ち帰っているという。もちろん、ローフォード城にもやって来る。嫁を探しに。  お兄様も王になっていた。  わたしが眠ってからほどなくして目覚めた両親は、お兄様に王位を譲ることにしたのだ。事の始まりはお兄様なのだから、責任を持って国を導くようにと。しかも、帝国の女性と結婚までしていた。  クラウス様には驚いた!  サイラスの生まれ代わりだったとは。初めて会った時の懐かしい不思議な感覚はそのせいだったのね。  この一連の事件は、全てサイラスが五百年前に仕組んだ事なのかも知れない。怖っ!  ちなみにオンディーヌ様にはクラウス様の近くにいるとしょっちゅう会えるらしい。  そして──、ローフォードもだいぶ様変わりしていた。  豊かな水に抱かれ、草木がたくさん生え、花が彩っている。その一方で、電気が行き渡り、魔法を使わなくても便利に暮らせるようになっていた。自動車も増え、線路も王都の近くまで伸びている。  まだまだ発展途中だけれど、ローフォードは自然と科学が調和した、美しい国に生まれ変わっていた。
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