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それなのにね、男は私をすり抜けて、何事もなかったように去って行きました。
私はね、そこで気がついたんですよ。
えっ、いやいや、そんな、そんな話じゃないんです。
私は死んでいませんよ。確かにここで生きています。
だって、ほら、あなたにこうして語りかけているでしょう。
あなたも私の声が聞こえるでしょう。
幽霊なんてものは、この世に存在しませんよ。
あるのは物質のみ、あとは、対消滅に行き着かず煉獄にいる反物質だけです。
えっ、私の言葉は声ではない?
どういう意味ですか。
私の声は聞こえない?
でも、あなたは私の話を理解している。
そんな、私の声は…。
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