2008年

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2008年

 二〇〇八年。周りの生徒はテレビ番組のキャラクターの物真似ばかりしていました。人気のない生徒でも、真似をするだけで大盛り上がりでした。しかし、真治はいったい何が面白いのか、さっぱりわかりませんでした。 「何それ、つまらないね」  あるとき、物真似している生徒に向かって言うと、 「面白いでしょう!」  と逆切れをして、真治は足を蹴られました。だからムカついて、真治はその生徒の筆箱を窓から投げ捨てました。 「こっちの方が面白いね!」  真治は一人でケラケラ笑いました。本当に、心の底から明るい気持ちになりました。  その日の夜、真治はお母さんと一緒に学校に呼び出され、先生にこっぴどく怒られました。 「二度としません」  しかし、口に出した決意とは裏腹に、なぜ怒られているのか真治には理解できませんでした。ただ、お母さんの悲壮感たっぷりな顔を見て、「やっちゃいけないこと」と認知しました。  悪いことはしてはいけません。良いことをしなさい。良いことだけをしなさい。決して、ズレちゃいけません。
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