仮面少女が笑うとき

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 その反応は娘に向けるものとしては不自然に思えた。彼女が言うように、本当にこの家では彼女の存在を黙殺しているのだろうか。彼女の両親の様子をそれとなく伺うと、二人はチラリと扉の外の気配を気にしていた。それから、ほっと胸を撫で下ろし、ようやく口を開いた。 「そう、友達なのね……いらっしゃい」  母親の方から言葉が発せられた。その声は優しげであったが、どこか機械的でもあった。 「こんにちは……」  僕はぎこちなく頭を下げた。 「ゆっくりしていってください」  母親はそう言うと、再び口を閉じた。 「ありがとうございます」  僕は礼を言うと、彼女に促されるままにリビングを後にした。背後から「ごめんなさい……」という囁くような謝罪の声が聞こえた気がしたが、気づかないふりをした。  僕達は二階にある彼女の部屋へと向かった。部屋の造りはシンプルだったが、可愛らしい小物がたくさん置いてあった。女の子の部屋だ。僕は少し落ち着かない気分になった。 「どうぞ、座ってください」  彼女はベッドの端を軽く叩いて言った。僕は言われるまま腰かけた。すぐそばにいる彼女の香りが鼻腔をくすぐる。なんだかドキドキしてきた。変に緊張しているのを隠したくて、僕はつっけんどんに彼女に問いかけた。
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