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人類は『ケイオシウム』を発見した。ケイオシウムとは、人類の無意識を結晶化したものだ。その名の通り、混沌としている。
人類は、この混沌を、治める方法を模索していた。エネルギー源として、使えるのではないかと考えたからである。
かくして、その試みは成功した。
ケイオシウムは、人類を加速させる。いつしか、大空に美しい園ができた。
「人工楽園」
そこは、美しい草花が咲き乱れていた。さらに、春夏秋冬全ての景色を、同時に見ることができる。それでいて、暑すぎず、寒すぎず、常に適温が保たれていた。
豊かなのは植物だけではない。鳥や動物、魚といった種々様々な生物が、それぞれ調和を保って生息している。
人間もまた、人工楽園にいた。そこに自分らが住み良い街を作る。
街は、歴史ある古都という趣のある一郭がある一方、全面ガラス張りの超高層ビルがあったりと、新古入り乱れている。
それでいて雑然としてはおらず、不思議な調和を保っていた。
暮らしている住民はみな穏やかで、互いに良い関係を築いている。貧しいものは一人もいない。
人工楽園はコンピュータによって管理されていた。AIもまたケイオシウムの力により、急成長する。
AIは足りないところを補うばかりか、率先して人々を導いた。それにより人々は、過酷な労働から解放されたのである。
ケイオシウムは、人々を労働から解放しただけではない。身体上の様々な問題をも克服した。
すなわち、老いも、病も、そして死も、なくすことに成功したのだ。
まさに楽園であった――
――そんな人工楽園に、魔の手が迫る。悪魔は、人工楽園を破壊せんとした。
そんな悪魔の企てを阻止せんと、研究所では日々、兵器の開発に勤しんでいた――
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