1. 尚人

12/104
前へ
/292ページ
次へ
 同時に、次回の講義は早めに教室に来て後ろの席を確保し、ユーチューブを見よう、そう決意をした。  コツコツと能力を蓄えていくのは至難の業だが、サボるのは気持ち一つで一瞬でできる。両親への感謝の気持ちを胸に入学した気持ちと現状のギャップに虚しさ、儚さは感じたが、入学早々、大学生脳に変わってしまった自分に逆らうことは出来なかった。 「なあ!どこのサークル入るか決めた?俺はテニサーに入ろうかな、可愛い女の子いっぱいいそうだし」 「俺もテニサー!大学生って感じだよなー、可愛いことヤれたりすんのかなー?」 「気が早えよ笑 でも実際ワクワクだよな!今週の新歓コンパ行こうぜ!」  椎名と瀬戸は鼻下を伸ばしながら、楽しげに話していた。  名字が須藤で、同じ学部に知り合いがいなかった僕は、入学式で出席番号前後の椎名と瀬戸と話してから、大学内では二人と一緒にいた。  椎名と瀬戸は入学早々髪を染めており、他愛もない会話も周りに聞かせたいのか、常に声が大きかった。一緒にいるときに自分がどうも、心から笑えていなくて、一人になった時にどっと疲れが押し寄せてきていた。
/292ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加