1. 尚人

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「ちょい残し、ちょい残し〜〜〜〜」  あらゆるコールを繰り出すテーブルの飲み方に注目が集まり、一つのコンテンツと化していった。コンテンツのテーブルほど騒ぎきれない他のテーブルのメンバーは、この盛り上がっているテーブルの飲みっぷりに対して、各々の見方を模索し、この飲み会をどうにか楽しもうとしていた。  僕ら三人の立ち位置でいうと、椎名と瀬戸はコンテンツ側、僕は観客側だ。  大学は目立ちたがり屋しか楽しめないのだろうか、そう思ってしまうほど、椎名・瀬戸と僕では、はっきりと明暗が分かれた。  二人は僕を決してコンテンツ側に呼ぼうとはせず、女の先輩たちと肩を組んでいた。一方僕は、つまらなそうな顔をする勇気もなく、乾いた愛想笑いで飲み会を楽しんでいるよう装い、笑い疲れたらピッチャーに入ったぬるい烏龍茶を飲むことを繰り返していた。 「カエデさんめちゃくちゃ可愛かったー、肩組んだ時興奮したー」 「それなー、メイさんも可愛かった、スタイルいいし、おっぱいも大きいし」
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