1. 尚人

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「俺も葵と会えてほんとに良かったよ、まだ実感湧いてないけど、前向いて頑張るね!最高の二年半だったよ、ありがとう」  この言葉を最後に葵との交際に終止符を打った。  葵が名古屋の大学に進学することになり、「遠距離はできない、新たな環境で頑張りたい」という葵の気持ちを尊重し、仕方なく別れることになった。  出会ったのは高一の二学期、隣の席になったことがきっかけで仲良くなり、ある日の部活終わりに高校の近くの公園で告白して付き合うことになった。生まれてはじめての彼女だった。  部活後は、高校の隣のコンビニで集合し一緒に帰る、テスト前はファミレスで一緒に勉強する、スタバの新作が出たら一緒に飲みに行くなど、高校生らしいデートは一通り経験した。  僕自身、特別イケメンでもないし、目立ちたがり屋でもなかったが、葵のおかげで高校生活は、それなりに輝いていた。別れはしたものの、その悲しさも、かけがえのないいい思い出として昇華されていた。今でもなお、輝きを放っていて、またあのような恋愛をしたいと思っていた。  振り返ると僕の高校時代は、順風満帆だった。
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