1. 尚人

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「いや、また見かけただけ。今回は追いかけたけど見失っちゃってさ。だから、昨日問い詰めたんだけど、やっぱり真緒だったみたい。でも真緒は二人とも浮気じゃないって言い張るんだけどさ、ちょっと信じられないよね」 「うん、駄目だよ。一回でもだめなのにそれが二回目で、しかも別の奴ってのはマジでありえねえ。何でそんなことしたの?別れるの?どんな人なの?」 史也は、一秒でも早く事実を知りたいのか、矢継ぎ早に質問をしてきた。 「うーん、そこなんだよな。二回目の浮気だから流石に許せないと思ってたんだけど、問い詰めた時に泣き出しちゃってさ。真緒の泣き顔見たら、それ以上に聞けなくて、別れようなんて言えなかったわ」 「なんだよ、結局また顔か。前は性格も含めて好きだとか言ってたけど、今の話を聞いてると性格はとんでもないんだからな、たぶん浮気相手二人どころじゃねえぞ、きっと何人もいるし、悪いとも思ってない」 史也は僕をどうにか更生させたいのか、更に語気を強めて、事実をひどく大きく膨らませて説得をしてきた。異なっている事実は訂正しようと思ったが、論点がずれてしまうと思い、心のなかに留めた。
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