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「尚人くんに彼女いなかったらなー」
彼女絡みの言葉はいくつももらった。おかげで、照れながら謙遜するという態度が息をするように出来るようになっていた。
「面白いハンド部」×「センスがある」×「彼女がいる」
ただただ平凡な僕が身の回りの環境のおかげで、これほどのイメージになっていた。前には出ないけど、センスがあって面白いハンド部とはまた違った良さがあるという隠れた人気者の評価を得ていた。
高校時代とは何一つ態度を変えていないつもりだった。大学でも同じように漂っていたのに、周りからの評価は正反対だった。
「面白くない」×「つまらない」×「彼女がいない」
ハンドボール部という存在がなくなるだけで、僕の価値がここまでひっくり返るかと愕然とした。
高校時代は、ありのままに過ごしても、ある程度の人気はあったので、まさかこれほど劣等感を抱えるなんて思ってもみなかった。確かに、イケメンではなく、モテそうな風貌ではないので、ハンド部が与えてくれていた恩恵は感じていたが、状況をすぐに受止められるほどの余裕はなかった。
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