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予想外の切り口に愕然とした。
周斗は長い足を組み直して、顎を触りながら自信満々の表情で続けた。
「太らせればいいんだよ。真緒にたくさん飯を食わせて太らせてしまえば、さすがに今のように可愛くはいられないだろ」
誇らしげな顔に期待して損した。
何なんだこいつは。まだ何かを企んでいるようにこっちを見ているので、とりあえず最後まで付き合ってあげようと思った。
「太らせるって言ってもどうやって太らせるんだよ。そこまで大食いでもないし、暴飲暴食するタイプでもないのに」
僕の反論に対して、周斗は再び足を組み直した。
「そうなんだよ、そこなんだよ!そこがわからないんだよ!」
「なんだよ!」
案の定、空っぽな提案だった。
「まあでも、尚人は今特に趣味もないんだろ?なら料理教室にでも通って、料理でも勉強して、これを機に趣味にしちゃえば良いじゃん!めちゃくちゃ暇そうだし、もしかしたらすぐ料理うまくなって、真緒も尚人の飯ならたくさん食うようになるかもよ」
予想通りなんの脈略もない、論理が破綻している提案だった。
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