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社会人二年目で、生活にハリがないことに目をそむけていた自分に、悪気のない強烈なパンチが急所に入ったようだった。悪気は無いのは重々わかっているが、冗談として受け止められなかった。
「まあ、考えとくよ」
周斗の提案を適当に受け止め、別の話題にすり替えた。
その後の話題は殆ど覚えていない。
薄々感じてはいたが、頑なに認めないようにしていた、「僕の人生はつまらない」という事実に信憑性が帯びていた。
真緒と別れたら、どうなってしまうんだろう。
飲んで憂さ晴らしをするつもりが、別の憂いを抱えてしまった。
* * * *
被害者なはずなのに、虚無感がどんどん大きくなる。
きっぱり別れられる潔ささえあれば。
分かってはいるが、真緒の顔を思い浮かべると、楽しそうで、屈託のない笑顔をしていた。この笑顔のせいで、再び楽しかった頃のように戻れそうな感覚になる。
真緒の可愛さが決断力に歯止めをかける。
また、僕の日常の輝きは真緒からしか生み出されていない気もしていた。
僕は月のように、真緒という太陽からの光で、自らを輝かせている。
別れたら、暗くモノクロな日常になるのだろうか。
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