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1. 尚人
「真緒、また浮気してたよ」
僕の報告に、史也は驚いた表情のまましばらく固まっていたが、周斗はどこか冷静だった。
四ヶ月前、三人で飲んだ際に、僕の彼女である真緒が浮気をしていたと二人に報告した。その際は、浮気について直接、真緒と話していたわけではなかったので確証はなかったが、見知らぬ男と手をつないで歩いていたので、浮気をしているのだろうと推測で話した。
一回目の浮気の時は、真緒に問い詰めることはなく、疑念は自分の中に押し殺していたが、再び真緒が男と歩いているのを目撃してしまった。しかも、一回目に目撃した男とは全く別の男。もう付き合って三年以上経つ彼女が何人もの男と遊び呆けているという事実に、僕はとてつもない衝撃を覚えたので、史也が口をあんぐり開けて驚くのも無理はないと思った。
「別の人なのかよ、やり手ですなー」
史也とは対照的に、周斗は達観していた。史也はあんぐり開けた口をようやく動かして僕に尋ねた。
「とんでもない女だな。今回はその場に突撃したの?」
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