警察官・笠原嚆矢の手記より

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警察官・笠原嚆矢の手記より

 最初に記しておきたいのは、この記録を残しておくことが、規則違反に当たるということだ。警察官としての守秘義務に反しているし、私の職務怠慢の証拠ともなりうる。またこの記録によってこの事件の全容が世間に晒された時には、私が救おうとした彼の人生を逆に台無しにすることになりかねない。だからこの記録は、私的に保管し、また人の目が届かないように注意しなければならない。だが、それでも私がこの記録を残すのは、然るべき時間が経った後に、私の取った選択が正しかったのか、それとも間違っているのか、然るべき誰かに判断を委ねたいからだ。
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