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家に帰ると、両親はコーヒーを飲みながらテレビを見ていた。
自分の部屋で荷物を置いて、部屋着に着替えてリビングへと行くと母がコーヒーを入れて待っていた。
「どうだった?」
「やっぱり、素敵なホテルだった。」
「そう、ゆっくり出来たみたいで良かったわね。
ただね、いつまでもこんな事してないで将来の事を考えたら?」
「わかってるけど…」
私だっていつまでもこんな風に、実家住まいをいい事に過ごしてはいけない事はわかっている。
だけど、いつ契約を切られるかわからない。
こんな状況を何とか打開したいけど、どうしたらいいのか。
私が黙って下を向いてしまうと、今まで黙って聞いていた父が静かに話し始めた。
「お前はまだ若い。
働けば良い事ばかりじゃないし、寧ろ辛い事の方が多い。
見通しが甘いと言われてもしょうがないが、やり直しが出来るんじゃないか?
今の経験を未来に活かせる様に努力をしてみろ。
大学を卒業したからって、やりたい仕事を見つけられる人間なんて一握りだよ。
社会人になってからの方が、経験をしてきた事が有利になるんじゃないのか?」
「経験してきた事?」
「あぁ、偉そうに言えないが。
今ならやりたい事があるんじゃないのか?」
今ならやりたい事…。
父の問いかけに答えを見つけたような気がした。
どんなに辛くても、この仕事なら頑張って耐えられる!
答えを見つけたら、すぐに行動するべく自分の部屋にこもってパソコンを立ち上げた。
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