3人が本棚に入れています
本棚に追加
漢字。
正しければ、それは“甘野老”という綴りだった。
見たことのない組み合わせ。
この植物の名前だろうか。
先ほど受け取った、手中の鮮やかな緑と優美な葉脈をつぶさに眺める。
悩んだ挙句、彼女に倣って葉の端をかじってみる。奥歯がジャリと音を立て、独特の味が舌に広がる。
てっきり菜の花のような苦味を予想していたけれど、これは――。
矢庭に、彼女が腕を伸ばしてきた。
人差し指と薬指をくっつけてその他の指を畳むと、先ほど石を叩いたときと同じように、どういうわけか、今度はこちらの喉をトンと軽く叩く。
最初のコメントを投稿しよう!