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episode1-2.愛は、なかった?〈アレクサンドル視点〉
ソフィア。ソフィア。ソフィア。ソフィア。
先に目を閉じるのが君だなんて思いもしなかったんだ。逝かないでくれ。
もっと話をしよう。
君の話だ。いつもみたく堅苦しいのじゃない。
君の祖国のわりと自由なルールとか。
君の好きなドレスの話し。
新しい薔薇の話。飼っている鳥の話。
食事の話。好きな宝石の話。
空や星の神話。
女性が好きそうな話。
確かに政略結婚はイヤだったし、面倒だって思ったよ。
しかも君、無愛想だし。
頑固だし、譲らないし、怒ると静かに引きこもるし。
変にプライドが高いから、歩み寄るなんて冗談じゃないって思った時もあった。
けれど同時に君にすごく興味があった。
これは本当だ。
我々は王族で政略結婚で、愛がないのは仕方がない。
それでも日を追う毎に君が気になっていた。
あの冬の夜を覚えているかい?
神話を語りながら寝室のテラスから空を見上げた時、とても美しかった。
それを話す君の横顔のことだよ。
君がローズ・ガーデンに新種の薔薇を入れたいと言っていただろう?
その薔薇の棘のせいでケガをしたって侍女から聞いたよ。
だから君がガーデンの管理をする事を猛反対したんだ。
美しい君が夕暮れ時に、薄いドレス姿で庭園を歩く姿を、他の臣下達に見られるのが嫌だったから散歩は許可しなかった。
だけど本当は私自ら君と夕暮れの庭園を歩いてみたかった。
王太后の母上は時々厳しいけど、君を気に入って欲しかった。
君は思った以上にしっかりした王妃だったから期待していたんだ。
食事中は本当は君がその日何をして過ごしたのかを聞きたかったし、王国騎士団の叙任式で君が目立った格好をすれば、君を好きになってしまう輩が出るかもと考えてしまった。
君の親しいマクシム……あいつが来るたびに良く分からないがモヤモヤした。
だからムキになって二人の間に割って入ったりもした。
裏切り者め。よくも。
それから君に、夜別々に寝たいと言われた時は何故か無性に腹が立った。
だって、君の隣はとても温かく居心地が良かったんだ。
大人気ないのは分かってたけど馬鹿みたいに怒ったりしてすまない。
これでも反省したんだ。
あれ以来君に手は出せなかった。
初夜の時、君はとても痛そうだったから。
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