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今は後悔と懺悔の気持ちでいっぱいだ。
迫り来る死の恐怖より、君を守れなかった不甲斐なさを呪うばかりだ。
私は王としては失格なのだろう。
君を見捨て、再起を図る事も出来たはずだ。
なのにそうしなかった。
この瞬間も、心に浮かべてしまうのは国の行く末でもなければ国民の事でもない。
今私は王ではなく、ただの一人の男として君の事を想う。
君だけの事を。
「また…君に会いたい……ソフィア。」
君の綺麗なアイスブルーの瞳がまた見たい。
声が聞きたい。
拗ねたような声や、掠れた声。
私を呼ぶ声。
寝たフリをする君のプラチナブロンドのふわふわの髪をまた撫でたいし、君の隣に潜り込んで寝たい。
君を力の限り抱き締めたい。
「王を殺せ……!!」
「首を斬れ……!!!」
赤黒い室内に炎と煙と灰が散らつく。
首を切れと声が聞こえる。
王の首は確かに重要だ。革命が成功した証になるのだから。
「ソフィア…生まれ変わったその時は…
今世ではできなかった事を、一から二人でしてみないか。
……いつかまた逢おう。」
ソフィアから聞いた神話を信じて、星々に祈る事にする。
首は落ち、たちまち私の命は消えるだろう。
確かに我々の間に愛は、なかった。でも。
馬鹿みたいかも知れないが来世でもまた、彼女と、ソフィアと………………………夫婦に。
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