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「おはよう、モナちゃん。」
「モナ、ルイーおはよう。ねえ、今朝は何のパンがおすすめ?」
「おっ。モナ、今日も美人だね!」
「もう、おじさん。いくらお世話を言っても今日は安くしないわよ?」
「あはは、やっぱりダメか〜?残念!昨日は安くしてくれたのになあ。」
「おじさん、モナはもっと上手に褒めちぎらなきゃ。この子意外と賢いのよ。
ちゃんと売り上げを計算した上で値引きしてるんだから。」
「まあモナが賢いのは分かってるよ。ところで、そう言うルイは最近食いすぎだろ?」
「ちょっと…!
それって太ったってこと?失礼ねー!」
「あははは」
今日も実家のパン屋は朝から和気藹々としている。
近所の八百屋のおじさん、パン好きな優しいお婆さん、世話焼きなお姉さん。
皆気の良い領民と言った感じ。
「モナ、新しいパンが焼けたよ。」
「さっそく、陳列お願いね。」
奥の厨房から顔を出した眼鏡をかけたお父さんと、いつも笑顔が絶えないお母さん。
昔から人の良い夫婦と評判だ。
大好きな友達に優しい両親。
今ではすっかり馴染んだこの生活。とは言え幼い頃は、前世の自分の暮らしと平民の暮らしのあまりの差に戸惑った事もあった。
それも今では懐かしい思い出だ。
とにかく今世は充実してて、毎日がすごく楽しい。
まさか生まれ変わった私が、こうして平民の暮らしを体験することができるなんて。
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