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客が落ち着き、店内は静かになった。
ルイとテディーは店内にある小さなフードコートで呑気にパンを食べたり、紅茶を飲んでたりしてる。いつもの見慣れた光景。
「あ。山の頂きが薄暗くなってきた。今にも雨が降り出しそうね。」
散々テディーを揶揄って楽しんだルイが、東側の裸の山を指差した。
数ヶ月前に雨による災害が起きて地滑りが起こり、岩肌が剥き出しになった山。
確かに。
今にも雨が降り出しそうな空だった。
「あ、そうだった。
私午後から養蜂場に蜂蜜を受け取りに行くつもりだったの。この後2人はどうする?」
「そう?なら私は帰るわ。今日仕事は休みだし、それにパンも大量に買ったし!」
「まだ食うのかよ。…まあ、僕も一回家で寝てからまた、取材しようかな。」
「そっか。二人とも気をつけて帰ってね。」
二人を見送り、私は奥でパン生地をこねてる両親に接客を任せ、傘とレインコートを準備して数キロ先にある養蜂場に向かった。
真っ黒な雲が広がる。
ルイの予想通り、山頂付近では大粒の雨が降り始めていた。
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