episode2-2.意外な人物との再会

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episode2-2.意外な人物との再会

   ***  パシャパシャと雨水が跳ねる。  濃いネイビーのレインコートは既にずぶ濡れだ。    あれから急いで養蜂場に向かい、無事に拘りの蜂蜜を買うことはできた。が、外に出た瞬間どしゃ降りの雨に見舞われてしまった。  とにかく傘とコートを準備してて正解。  ゴロゴロと嫌な音が鳴った後、眩しい閃光が走った。  「キャアアアアアッ!」    直後に轟音が響く。思わず耳を押さえていると、強い雨が降ってきて辺りを濁らせた。  もう一度稲妻が走って、次の瞬間には轟音が鳴る。同時に鮮やかに、周囲の景色が映った。  「……あれ?」  さっき雷が落ちた木のすぐ側に、誰かいる。  一人は雨に濡れそぼった後ろ姿の貴婦人。  もう一人は、泥濘に填まった馬車の車輪を引き上げようとしている男性だった。  こんなにひどい雨だし、見て見ぬ振りはできない。私は咄嗟に二人の元に駆け寄った。  「あの、大丈夫ですか?」  「……あ。それが、車輪が言う事をきかなくて。」  振り返る男性と、落雷の中で目が合った。  白みがかった長髪。  湖のように青く、透明感のある色の瞳。肌は美しいアルビノ。  白を基調とした、上品で珍しいレインコートを着ていた。  本当に男?と思うくらいとても綺麗な人だった。  でも見惚れてる場合ではない。  今世の人生では生活の知恵をとりわけ何でも学んでいる。  生きるために役に立つものばかり。  「私も協力しますよ。とにかく頑丈な木の板のような物があればいいので……  この近くに確か、木を加工している材木場があるはず……!一緒に来て頂けますか?」  「はい。勿論です。」  その男は前髪から雫を垂らしながら、ニコリと微笑した。  その様子をそばで見守っていた貴婦人。  雨でよく見えないが濡れていたので傘を差し出し、手に握らせた。  「良ければ使って下さい。」  「……でも、あなたが濡れてしまうわ。」  低く落ち着いた女性の声。が、それと同時にどこか聞き覚えがあるような気もした。  「気にしないで下さい。私はレインコートがあるので大丈夫です。」  早めに何とかできればいいが。  雰囲気で分かる。  お年を召しているだろうに、こんなに雨に濡れてしまっては体に堪えるだろう。
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