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 10 「どうしたの、ミキちゃん?」  星川きらりが何か言っている。 「え、うん。いや、別に」  バス停から歩いて、途中できらりと合流した。こいつは自他共に美少女で以前は取り巻きがやたらといたんだけど、私と共謀してバラの花束で殴り合ってたらいなくなった。他愛もない奴らだったよ。今は、私の親友になっている。 「………」  何か、忘れた気がする。学生鞄を漁るけど何も忘れ物はないけどなぁ。 「ね、ね。今日ね。近くにコーヒーショップがオープンしたの」 「あ、そうなの? へへんっ」 「何でしたり顔したの」 「えっ、いやどうしてかな」 「でね、放課後いっしょにそこ行こうよ」  教室に着くと、友梨香と合流した。ギャルグループから離れてこっちにしかめっ面で歩み寄る。 「何で星川さんいるの」 「ミキちゃん。この人怖い。野蛮な人?」 「うっざ。わたし、あんただけは認めないからね」 「あなたに認めてもらう必要ないんだけど」  今日も元気だなー。私は頬杖ついて二人のケンカを眺める。 「………」  空は真っ青なこと。雲一つない。今年の夏も一段と暑くなりそうだ。嫌になる。  たまには涼しい夏が来てもいいんだぜ。ほんと、夏は本当に嫌な季節だよ。虫は出るし、湿気は一段とすごくなるしさ。 「ははっ」  でも、楽しそうだな。きっと、何か面白いことが起こるだろ。友達も増えたし。  私は夏は嫌いだ。この地にいると余計に嫌いになる。暑いし、じめじめするし、台風はやばくてもう最悪だよ。 「………」  ほんと、夏みたいな奴だったな。  ん、誰のことを言ってんだよ。ま、いいか。思い出すときは思い出すだろ。今年の夏も、まぶしすぎる光で、大変だ。 (了)
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