さよなら大好きな人

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「ねえ、ユナちゃん。本当にこんなんでいいの?」 「こんなんとか、言わないで下さい。私にとっては一番のご馳走なんですから!」  私の送別会の希望は、お店を貸し切って店長のフルコースでもてなして欲しい、というもの。  締め切った店内では、お子さんをご主人に預けてきたカナコさんが、グイグイとグラスワインを飲み干して、私の顔を見ては。 「やだやだ、ユナちゃんと明日から働けなくなるなんて嫌だ」  と、子供のように駄々をこねている。 「私だって、嫌です! 全部ユナさんに頼ってきたのに、これからは店長に頼らなきゃいけない」 「え? ミナミちゃん、そんな風に思ってたの? もしかして、俺って頼りない?」 「ですね、ユナさんに比べたら」  サラちゃんにトドメを刺された店長は、ガックリと肩を落としていて、その姿に皆が笑う。  明日からは昼に一人、夜に一人新しいバイトさんが入る。  残念だけれど、私はその方たちと、会うことがないだろう。
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