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この店での幾つもの新しい出会いは、どれも楽しい思い出ばかりだった。
ここにいる皆と、店長と働けた日々は大事な時間だった。
「就職、おめでとう。ユナちゃん」
皆から渡された大きな花束。そして店長からは、なんと小さな石のついたネックレス。
「いいんですか!?」
「だって、OLさんになるでしょ? そういうの付けて歩くようになるんじゃない? 六年分の退職手当にしては少なくてごめんね」
「大事に、します。一生、大事にします」
最後まで笑っているつもりだったのに、こんな形に残るものをもらってしまったら。
「あー、店長が泣かせた! どうしてくれるんです?」
「待って? え? ねえ、ユナちゃん、俺のせい? マジで?」
カナコさんに責められて、オロオロする店長の姿に泣き笑い。
だけど、知ってる。
こんな楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまうことを。
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