同期に感謝を

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私の横に来た涼が小さく声をかける。 「美咲の前の上司でしょ。」 「うん、営業成績一位のすごい人。」 同期の中でも仲良しの涼にすら教えてない田代誠との関係。 これ以上私の口から彼のことを言うことはなかった。 「みんなで挨拶に行こうよ」 北村の誘いにみんなが動き出そうとしたとき 「課長もプライベートなんだろうし。邪魔じゃないか?」 普段からあまりしゃべらない広瀬が唯一反対をする。普段はあまり大きな声を出さない広瀬の大声にみんな驚くが、『いや、挨拶は基本だ』と北村を先頭にみんなが田代課長のいたほうへ歩き出す。 大きな田中翔の背中に隠れぎみで私もついていく。付き合いだしてから誠さんと人前で会うのは初めて。あ、年末の社内忘年会はあったけど。あの時はばれないように見ないよう、近づかないよう、警戒しまくっていたっけ。 今日もみんなに気づかれないようにしなきゃ。風で乱れた髪を手櫛で整える。シャツの襟もきれいに整えた。
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