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さよならには涙を
そのまま広瀬くんと二人で手をつないだまま地下鉄の駅へ向かう。
何を話したらいいのかわからず、二人黙ったまま。
けど手はつないでいる。広瀬くんの大きな手からは逃げることができない。
スゴカ(交通系ICカード)を出すときに一瞬離れたけど、すぐにつながれた。
地下鉄、その後JR鹿児島本線と乗り継いだ私たちは、BBQ会場を出てから約40分後私の最寄り駅に着いた。
「家まで送る。家はどこ?」
振り向いた広瀬くんにそう言われ、またぐっとつないだ手に力を入れられる。熱い。
私は空いているほうの手で駅の南口を指さし
「この商店街を抜けて…」
駅から私の住むアパートまで歩いて約5分。
駅を出て昔ながらの少し寂れた商店街を抜け、昔ながらのスーパーの手前を左に曲がったらすぐだ。
何か言わなきゃ
「この白と茶色の壁のアパート、ここの301号室。角部屋。日当たりがいい。スーパーが近いのがセールスポイント。」
入社すぐからこの3階建ての比較的新しいアパートの3階の1DKに住んでいる。
日当たりもよくスーパーが目の前にあるところが気に入ってここに決めた。
スーパーの横を通りながら、
誠さんはいつもこのスーパーに車を停めていたな。
ふとそんなことを思い出した。
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