さよならには涙を

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こういうときって、アパートのエントランスで  ありがとう、さようなら  なのかな… やっぱりコーヒーでもどう?とかいうものなのか… こういう経験の少なさにどうふるまうものなのか、わからなくなる。 エントランスを当たり前のように通り過ぎ、3階までの階段を上る。手をつないだまま上るには少し狭い。 感謝は伝えるべきだろう。 玄関前でやっと決心して声にした。 「ここまでありがとう。あ、あのさ、コーヒーでもどうかな?インスタントだけど。あと紅茶とハーブティーとココアもある。」 ぷっ。と笑われた。 多すぎたのがいけなかったのかな、あと緑茶もあったはず。 「ありがとう。すごいな。じゃぁ、コーヒーもらいます」 今日は朝から時間があったから、ちゃんと掃除をしておいてよかった。 台所に朝飲んだ緑茶のコップが一つ、洗ってなかったけど。それぐらいなら。ま、いいっしょ。 洗濯物はベランダだし、下着だけ急いで隠せば大丈夫。 まぁ広瀬くんなら別に汚いからってなんも言いいそうにないのだけど。 同期としてはこの部屋に入るのは涼に次いで二人目だ。 あの時は二人で料理作って恋愛の話と仕事の愚痴で語り明かしたっけ。 なんだろう、落ち着かなくていろんなことを頭の中で考えすぎている。
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