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『 縁談がある 』
鈴子がそう言った夜から
直樹と優子の間で
そのことについて
触れることはなかった。
でも、
「今夜…菜々子の家へ
鈴子と行ってくるわ」
そう優子が言っていた一昨日…
今朝、直樹は昼食を誘われた。
(話の続きを聞いてきたのか…)
そんなことを思いながら
茗荷谷駅近くの
馴染みの定食屋への道、
(先に着いて…)
直樹の視界に
優子の背が入った。
少し足早に追いつこうとする
直樹の前を、勢いよく
横入りする中年男性が…
「あ…!」
わざとその男は優子の杖を
軽く爪先で蹴ろうと…!
足早に優子の背後に、
直樹が急いだ、そのとき、
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