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「子供の顔って
三月もしたら
シッカリしてくるのね」
「可愛いかったかい?
透真くん」
「可愛いわね、菜々子に似て
くせっ毛よ」
「やはり、“父親”については
君や鈴子にも言わないの?」
「ええ…。言えない相手、
なのでしょうね。でも
獣医としての腕も医院も
あるのだから暮らしの
心配はなどはないのだし」
淡々と話して
淡々と食べる優子が
箸を置いて
「やはり…学者さんみたい、
鈴子の御相手は」
「鈴子の家は皆そうだからね…」
「うん……」
優子は溜息を誤魔化すように
熱い茶を飲んでふぅと一息。
「…たぶん、決まるのじゃない…」
哀しく“氷結”は緩む。
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